楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

2015年4月 アーカイブ

2015年4月14日 23時12分06秒 (Tue)

初心忘れるべからずっていう短編

最近艦これでちょっと思うところが有り、春イベも近いのでここらで初心を思い出そうぜっていう自分用の短編。
後半に連れて立場を追われていく初期艦のお話。最初は五月雨選んだ提督でした。

_____________________________


「提督、第二艦隊遠征出しました?」
「え? いいや?」
「ダメですよ。せっかく艦隊が2つあるんですからちゃんと活用しないと!」
「は、はい……」

「おーい、五月雨ー!」
「はい、何ですか提督!」
「この遠征ってさ、成功しないんだけど……。なんかわかる?」
「あの…編成間違ってません?」
「え、マジ?」

 最初は随分頼りない提督だったと思う。それでも、一番最初に私を選んでくれた彼を慕っていた。でも……。

「五航戦、瑞鶴着任しました!」
「戦艦陸奥、着任よ」
「瑞鳳です! 軽空母ですが、練度が上がれば正規空母並みの活躍をお見せできます!」

 私なんかよりずっと強くて頼りになる艦娘次々とやってきて、私が旗艦をやっていることがおかしいような状況になっていた……。
 それからしばらくして、

「五月雨、お前は一旦第一艦隊から外れて遠征に回ってもらう」

 事実上戦力外通告だった。それはそうだ。小柄な私はいつも大破ばかりで最初の難関海域と言われている2-4では、私の大破が原因で何度も撤退した。
 悔しかった。それでも提督の判断が正しくて何も言い返せなかった。かつて私がいた場所には、軽空母の瑞鳳さんがいる。
 それも悔しくないと言ったら嘘になる。でも提督が決めたことは覆しようがない。
 それからしばらくして、提督はあまり鎮守府に顔を出さなくなった。全くというわけではなかったが、それでもめっきり減った。
 そのころから私は駆逐艦でのみ攻略が可能とされる海域を攻略するための艦隊に組み込まれていた。旗艦は皐月ちゃんだ。
 もうこの頃には提督は秘書艦の補助なしで艦隊を組み、次々と海域攻略へ向けて組んだ艦隊を出撃させていた。

「五月雨ちゃん!」
「瑞鳳さん……?」

 いつごろだったか、私は瑞鳳さんに声をかけられた。

「最近元気ないみたいだけど、大丈夫?」
「え? 私、そんな風に見えます?」
「うん。なんか表情くらいよ? 遠征とかで疲れちゃった? 私から提督にガツンと言っておこうか?」

 瑞鳳さんは、秘書艦として私を気にかけてくれていたのだ。情けないやらなにやら……。

「ね、ねえ瑞鳳さん!」
「んー?」

 だから、思い切ってみることにした。このままじゃいけないと思ったから。


◆◆◆


 五月雨は執務室の前で小さく深呼吸をしたあと、扉をノックした。

「入っていいぞ」

 気の抜けた提督の声が聞こえる。いつも通りの声だった。

「失礼します」

 意を決して中に入る。提督は眺めていた資料を閉じると、私の方へ視線を向けた。

「おう。それで用ってなんだ? 瑞鳳に訊いても教えてくれないし……」
「そ、そうですか……」

 あんなに親しげに話していたはずなのに、何故か緊張してしまう。ここまで明確に溝が生まれてしまっていたことを改めて痛感させれてしまう。

「そうだ、ちょっと夜風にでも当たって昔ばなしでもするか」
「はい……?」
「そうと決まれば善は急げだ。ほら、行くぞ?」
「え、ちょっ……」

 ニカっと笑った提督は椅子から立ち上がり、私の腕を掴んで強引に外に連れ出しだ。困惑する私を他所に提督はどこか楽しげだ。

「やっぱここは星が綺麗だなあ」
「……そうですね」

 ここは鎮守府の外れにある草むらだ。星がよく見えるとよく二人でここで星を眺めていたものだ。

「なあ覚えてるか?」
「はい?」
「お前、一番最初の挨拶の時にコケて資料ぶちまけただろ?」
「はうっ!?」

 突如として振られた昔の失態に驚きと恥ずかしさで変な声を出してしまう。私は周りからもよくドジっ子だとか言われて迷惑をかけていた。

「最初は危なっかしいなと思ったよ……」
「そ、それだったら提督だって最初は艦隊の編成や任務のやり方だって分からずに私に泣きついてきたじゃないですか!」
「うっ……!」

 何故か無性に悔しくなってつい言い返してしまう。提督は図星だったのか、言葉に詰まってしまう。それを見た私は失礼なことを言ってしまったことに気づき慌てて訂正した。

「ごめんなさい! 別に悪口とかそんなんじゃ……」
「別にいいよ。俺のそんなとこ知ってんのはお前だけだ。瑞鳳だってあの頃の俺は知らない」
「え……」

 何か自分が特別だと言われているような気がして無性に嬉しくなってきてしまう。そんな私に気づかず提督は話を続けた。

「不満か?」
「い、いえ! そんなことはないです!」
「確かにお前が秘書艦をやってた頃よりここは随分大きくなって、戦力も比べ物にならないほど上がった。でもな、それでもお前たちが必要ないと思ったことは一度もない」
「……気休めならいいです」
「お前はうちの鎮守府の駆逐艦の中で練度はかなり高い方だ。これからイベントが始まるんだ。お前にも確実に出番が回ってくるから覚悟しとけよ?」
「私も……出撃?」
「冬の時だって出てもらったろ?」
「だって……結局攻略できなかったし……」
「それは俺の責任だ。お前には落ち度はないだろ? 自信を持て。次も頼りにしてんぞ!」

 言うと同時提督の手が私の背中を叩いた。急のことだったので驚いたけど、同時に嬉しさと涙もこみ上げてくる。

「提督……わたっ……私……!」
「えっ!? 何で泣いてんの!? 俺なんかした!?」
「い、いえ……嬉しくて……!」

 あたふたする提督を見て少し笑いがこみ上げてくる。

「そうか……」

 確かに私は提督にとって一番じゃないのかもしれない。でもそれでもいい。だって今も秘書艦だった頃と変わらずに私のことを必要とし、気にかけていてくれるのだから……。

ブログ

日月火水木金土
123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
QRコード
携帯用QRコード