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艦これ二次創作

2015年5月24日 23時04分16秒 (Sun)

時雨、犬を飼う

設定はこことか、ここを参照


――――――――――――――――


「………」

 某日執務室。前髪あたりの両恥の髪がぴょこんとはねた少女、時雨が提督と向かい合っていた。時雨の胸元には、柴犬の子犬が抱えられていた。

「………」

 お互い無言の硬直状態が続く。

「提督……。お願いがあるんだ」
「却下」

 口を開いた時雨の言葉を先読みするように提督の言葉がかぶる。というかこの状況で何を言い出すか予想できない方がおかしい。

「元いた場所に戻してこい」
「鎮守府の敷地内だよ……?」
「………」

 今度は時雨の反論だった。ずっとこのまま口数の少ない口論が続いていくのだろうか。

「とにかく、うちに犬を飼う設備はないだろう」
「僕が世話をするよ……!」
「お前の役割はなんだ? 犬と戯れることじゃない。人類のために深海棲艦と戦うことのはずだ」
「僕たちは、ただの兵器じゃないんだよ……?」
「知っている」

 ともすれば威圧ともとれるほどの低い声で提督は言い放つ。今は浮ついた気持ちになど到底なれない。艦娘も人間と同等の感情を持つ。時には癒しも必要だろう。
 しかしあまり規律をおろそかにしすぎてもダメだ。そうなればここは本当に軍事施設ではなくなってしまう。ただでさえここは出撃回数が少なく『鎮守府ではなく演習場だ』と言われていて存続が危うい部分があるのだ。あまり下手なことはできない。
 と、そこでコンコン、と扉をノックする音がする。

「……入れ」

 時雨と話している途中ではあるが、大事な要件である可能性もある。とりあえず彼はノックの主を部屋に入れることにした。

「失礼します」

 入ってきたのは瑞鳳だ。手にはいくつかの書類が握られている。

「本日の遠征と演習の予定ですけど、予定されいた鎮守府の提督が急遽交代することになり、キャンセルが入りました。それから陽炎、時津風、涼風、暁の艦隊が午前10時から遠征に出発します」

 淡々と報告書を読み上げる瑞鳳の視界に子犬を抱えた時雨の姿が目に入る。

「えっ……犬!? か、可愛い!!」
「う、うん……」

 目をキラキラさせながら駆け寄る瑞鳳に時雨は若干引き気味で答えた。しかし瑞鳳はそんなこと全く気にしていな様子でさらに時雨に詰め寄った。

「もしかして飼う感じ!?」
「……そうなればいいかなって」
「いいね! いいよね提督!?」
「ダメに決まってんだろバカタレ」

 瑞鳳にゆるい空気を作り出されてしまったためか、つい彼もゆるい口調で答えてしまう。しかしさすがにそこでいいよと答えるほど流されやすい人間でもなかった。

「なんでですかー!? 九九艦爆はいいのにー!?」
「艦載機はペットじゃねーよ……」
「九九艦爆だってその子にまけないぐらい可愛いですよ! ……あ、ちょっと待っててください!!」

 瑞鳳は何か思いついたような表情をすると、そのまま部屋の外へ出て行ってしまった。

「出るときは失礼しましたでドアを閉めてけ!!」

 九割九部九輪聞こえてないが、ここで注意しとかなければ尊厳は保てない。

「………ハア」
「………」
『キュウ?』

 嵐のように去っていった瑞鳳を見た二人はそれぞれ言葉が出ずにいた。時雨に抱えられていた子犬は自体が分かっていないいない様子で首をかしげた。

「それで飼ってもいいんだよね?」
「いや、どさくさに紛れて何頷かせようとしてんだよ」

 意外と時雨はしたたかだった。しかしそれでも提督は頷かない。別に自分はツッコミキャラのつもりは一切ないのだが彼女たちの相手をしているといつの間にかツッコミに回ってしまっている気がする。
 そんなことを考えながら再びため息をついた。
 と、ドンドン、と執務室のドアを乱暴に叩く音が聞こえる。今度は提督の返事を待たずに扉が開いた。

「犬がいるって本当かい司令官!?」
「しれーっ! 私に隠し事とか良くないなー!」

 皐月と時津風が、

「犬飼うくらい大丈夫よ! 私がいるじゃない!」
「司令官、犬を飼うぐらいはいいのでは?」

 雷と三日月が、

「わ、私は止めたんだけどね……」
「榛名は大丈夫です……」

 瑞鶴と榛名が、
 全面的に肯定しているのは駆逐艦が多めだった。しかし止めようとしていたらしい空母と戦艦の二人も、実際に時雨の胸元にいる子犬を見ると、目を輝かせてしまっていた。
 考えなくても瑞鳳が広めたのだろう。

「………はあ。分かったよ」
「本当かい提督!?」

 これはもうどうしようもないと判断した提督はため息混じりに折れてしまった。それを聞いた時雨の顔がぱあっと晴れやかになる。

「ただし。世話は当番制にすること。絶対に艦娘としての勤務に干渉させないこと。飼うからにはしっかかり最後まで面倒を見ること。これが条件だ」
「もちろんだよ提督!」

 普段おとなしい時雨がとても嬉しそうにうなづく。
 それを見た提督も、『たまにはいいか』ということで無理やり納得することにした。

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