機獣新世紀 -ZOIDS- ~銀色の軌跡~
【ゾイドイヴに選ばれた者たち】
「クソッ! 数が多すぎる……!」
ミライは悪態をつきながらレブラプターをサイファーのブレードで切り裂いていく。しかし多勢に無勢。このままでは間違いなくこちらがやられる。しかし退路を確保しようにもやはり敵の数がネックになってくる。
『ミライ、カノンを置いていけばあなたとジークは見逃してあげますよ』
ジークは現在少し離れた場所に身を潜めている。しかし今の口ぶりからしてここにいることはわかっているのだろう。
「ふざけるな。そんな条件俺が飲むと思っているのか?」
『……まあそんなとこだろうと思いましたよ』
一人通信室で高みの見物を決め込んでいるレベッカは別の場所へ通信をつなげる。
「カルロス、出番ですよ」
『了解ですよーっと。さて、腕が鳴るぜ』
彼女の指示によりカルロスの乗ったジェノザウラーが戦場へ向かう。ただでさえ苦戦しているこの状況へさらに追い打ちだ。
「ブレードライガーの性能、改めて見せてもらおうかな」
「カルロス……ッ!!」
ジェノザウラーを視界にとらえたミライは歯を食いしばる。状況は最悪だ。罠が貼ってあったとしてもこんな徹底したものとは考えてもみなかった。なぜ奴らはここへここまで戦力を集中していたのか、自分たちが違う場所へ行っていたらどうするつもりだったのか。疑問を浮かべればきりがない。とにかく今はこの場をいかにして離脱するか、それを考えるべきだろう。
「カノン、抜け道はありそうか!? このままだと本当にまずい!」
「ミライ……私を置いてあなたは逃げて」
「な……に……?」
突然の言葉とともにカノンはコックピットのハッチを開く。
当然カノンを殺すわけにはいかない敵に攻撃はやんだ。つまりはそういうことだ。呆けていたミライはカノンの行動の意味を理解し、カノンに怒鳴るが、それでも彼女は止まらない。
「待てカノン!!」
そんなミライの制止をよそにカノンはコックピットから飛び降りた。
「レベッカ! 私はあなたについていく。だから彼らを見逃して」
『いいでしょう。元々こちらとしてもそのつもりでしたから』
カノンの言葉に対して即座にレベッカが返事を返す。
『ミライ、変なことは考えないことです。こちらとしてはカノンが生きてさえいればいいんです。手足の一本や二本吹き飛ばしてもいいんですよ』
「レベッカ……ッ!!」
淡々とその言葉を放つミライは怒りを滲ませながら彼女の名前をつぶやく。一体何が彼女をここまで変えてしまったのか。いや、そもそも最初からこのつもりだったのか。
今となってはそんなことはどうでもいい。奴は最低なことを言い放った。もはや仲間でも何でもない。あの女は敵だ。
「ミライ!! 今は引いて……」
怒りに任せて敵の懐に潜り込もうとするミライをカノンが制止する。彼女の思いはわかっている。わかっているからそこ見捨てきることなどできない。
『さてミライ。もうあなたに用はないのでさっさと消えてください。そしてもう二度と私たちの前に現れないでください。死にたくなければね』
「私は大丈夫だから……ね?」
「………ッ!!!」
レベッカとカノン。二人にこの場を去るように促され、何も言い返すことができない。ここでカルロスのジェノザウラーと戦っても勝てる見込みは薄い。単騎ならともかく相手にはその圧倒的な数がある。それでも、何か、何か……。
「済まないカノン。どうやら俺はお前の希望通りに動けそうにない」
「ミライ……!?」
ミライが意を決し戦闘を始めようとした瞬間、どこからか放たれた閃光弾がまばゆい光を放ち、そこにいる者たちの視界を奪った。
『走れミライ!!』
「クリスか……!?」
ぼやける視界を他所に飛んできた通信の声の主にミライは驚きながら言葉を返す。走れと言われてもこちらも閃光弾の影響を受けている。
『サイファーを少し借りるぞ!』
今度はウルフの声だ。すると今度は操縦桿の制御が利かなくなり、サイファーがひとりでに後退し始めた。
「待てサイファー!! まだカノンが……!!」
『無理だミライ! 今はここから離れることを考えろ!!』
「だが……!?」
『手は打ってある!!』
「なっ……!?」
ウルフの言葉にミライは面食らってしまう。まさかこうなることを予想していたというのだろうか。だとしても自分から突き放した彼に文句言うことはできないのだが。だがいったいいつの間にそんなものを用意していたのだろうか……。
『兎に角今はウルフの言うことを聞いてくれ!!』
「……わかった。お前たちを信じる」
クリスの言葉に少しだけ冷静さを取り戻したミライはそれだけ言うと、後ろを振り向く。カノンがいるはずの、その場所を……。
もっと自分に力があればと思わずにはいられなかった。サイファーはシールドライガーTG、ブレードライガーと確実にスペックを、その力を上げている。では自分は? 自分はサイファーの進化についていけているのだろうか。
(俺は……)
遠くなっていく遺跡をしり目にミライは星空を仰いだ。
◆◆◆
「ようこそ。賢明な判断感謝しますよ」
「レベッカ、あなたはいったい何を考えているの?」
遺跡の中で補強され、通信設備が整った一室。今そこにカノンとレベッカはいた。強いまなざしでレベッカを見据えるカノンに、ふてぶてしく椅子に座る彼女は小さく笑う。
「安心してください。私はあなたを悪いようにはしません。肩の力を抜いてください。まあ無理な話かもしれませんが」
レベッカはカノンの質問に答える様子はない。だた、淡々と自分の用件だけを伝えていく。
「私はあなたをこれからある場所へ連れて行かなければなりません。とは言ってもゾイドイヴ探しも続けなければならないので今すぐにとはいきませんが。なのであなたはしばらく私たちと行動とともにしていただきます。脱走は考えない方がいいですよ。まず無理ですし、無茶をされるとこちらもそれ相応の対応をしなければなりませんから」
「………」
「さて、あなたの待遇についてはこれから移動しながら話させていただきます。さて、行きましょうか」
一方的に話を切ったレベッカは椅子から立ち上がり、カノンの手を引いて遺跡の外へと歩き出した。カノンはレベッカの真意が読めなかった。ここに来た時に言っていたゾイドイヴを使って世界を変えるという話。いくらなんでもむちゃくちゃすぎる。本当にそれが可能だというのだろうか。
しかしレベッカに手を引かれたとき、カノンは彼女のことを、ほんの少しだけ理解する。
「レベッカ、あなた……」
「……その話はまた別の機会に」
私と同じ、と続く前に話をさえぎられてしまう。古代ゾイド人だという話ではない。レベッカは紛れもなく人の子だ。しかしそういったところとはまったく別のところで彼女たち二人は近い存在だった。
「あなたには私のフォックスに乗ってホエールキングまで移動していただきます。ちょっと狭いですが我慢してください」
「……わかった」
レベッカの言葉にカノンは一度だけうなづく。ここはしばらくいうことを聞いていた方がいいだろう。おそらく危害は加えないという彼女の言葉に嘘はない。だからこそフォックスへの同乗を指示したのだから。その確信と共に、カノンはレベッカの手に引かれていった。
◆◆◆
「それで、お前たちの言う策とは何だ?」
一方こちらは無事離脱に成功したミライたち。なぜついてきただの、どうして俺たちの居場所が分かっただの色々問いただしたいことはあるがとりあえず今一番聞かなければならない情報はこれだろう。
「それは私から説明しよう」
「ランスロット……!?」
クリスたちの背後から現れたのは、情報屋ランスロットだった。しかし普段の世捨て人のような姿とはちがいしっかりとした服に身を包み、まるで騎士のようにたたずむ彼にミライは困惑気味に名前を呼ぶ。口調も普段のおちゃらけたものとは違う。
「カノン嬢がアーサーの手に渡ったのであればもはや一刻も猶予もない。君にすべてを話す。その代り我々に協力してもらいたい」
「何の話だ……?」
「君が手に入れた録音データの話だ。あの話に出てくる歴史から消えた国とはブリテン。そしてその国を治めていた王の名はアーサー」
「アーサーだと? ……まさかレベッカが!?」
「その通り。彼女はゾイドイヴに選ばれたアーサー王の血をこの世界でも最も色濃く受け継ぐ存在だ」
「ゾイドイヴに、選ばれた……!?」
立て続けに出てくる聞きなれない言葉にミライは困惑する。当然だろう。いきなり王様だの選ばれただの、冷静に受け止められる方がどうかしている。
「……そうだな。順を追って話そう。我らの祖先が地球にいたことから存在するアーサー王伝説の話からだ」
言い終わったランスロットはふう、と息を吐き、煙草とライターを取り出し、煙草に火をつけた。
ミライは悪態をつきながらレブラプターをサイファーのブレードで切り裂いていく。しかし多勢に無勢。このままでは間違いなくこちらがやられる。しかし退路を確保しようにもやはり敵の数がネックになってくる。
『ミライ、カノンを置いていけばあなたとジークは見逃してあげますよ』
ジークは現在少し離れた場所に身を潜めている。しかし今の口ぶりからしてここにいることはわかっているのだろう。
「ふざけるな。そんな条件俺が飲むと思っているのか?」
『……まあそんなとこだろうと思いましたよ』
一人通信室で高みの見物を決め込んでいるレベッカは別の場所へ通信をつなげる。
「カルロス、出番ですよ」
『了解ですよーっと。さて、腕が鳴るぜ』
彼女の指示によりカルロスの乗ったジェノザウラーが戦場へ向かう。ただでさえ苦戦しているこの状況へさらに追い打ちだ。
「ブレードライガーの性能、改めて見せてもらおうかな」
「カルロス……ッ!!」
ジェノザウラーを視界にとらえたミライは歯を食いしばる。状況は最悪だ。罠が貼ってあったとしてもこんな徹底したものとは考えてもみなかった。なぜ奴らはここへここまで戦力を集中していたのか、自分たちが違う場所へ行っていたらどうするつもりだったのか。疑問を浮かべればきりがない。とにかく今はこの場をいかにして離脱するか、それを考えるべきだろう。
「カノン、抜け道はありそうか!? このままだと本当にまずい!」
「ミライ……私を置いてあなたは逃げて」
「な……に……?」
突然の言葉とともにカノンはコックピットのハッチを開く。
当然カノンを殺すわけにはいかない敵に攻撃はやんだ。つまりはそういうことだ。呆けていたミライはカノンの行動の意味を理解し、カノンに怒鳴るが、それでも彼女は止まらない。
「待てカノン!!」
そんなミライの制止をよそにカノンはコックピットから飛び降りた。
「レベッカ! 私はあなたについていく。だから彼らを見逃して」
『いいでしょう。元々こちらとしてもそのつもりでしたから』
カノンの言葉に対して即座にレベッカが返事を返す。
『ミライ、変なことは考えないことです。こちらとしてはカノンが生きてさえいればいいんです。手足の一本や二本吹き飛ばしてもいいんですよ』
「レベッカ……ッ!!」
淡々とその言葉を放つミライは怒りを滲ませながら彼女の名前をつぶやく。一体何が彼女をここまで変えてしまったのか。いや、そもそも最初からこのつもりだったのか。
今となってはそんなことはどうでもいい。奴は最低なことを言い放った。もはや仲間でも何でもない。あの女は敵だ。
「ミライ!! 今は引いて……」
怒りに任せて敵の懐に潜り込もうとするミライをカノンが制止する。彼女の思いはわかっている。わかっているからそこ見捨てきることなどできない。
『さてミライ。もうあなたに用はないのでさっさと消えてください。そしてもう二度と私たちの前に現れないでください。死にたくなければね』
「私は大丈夫だから……ね?」
「………ッ!!!」
レベッカとカノン。二人にこの場を去るように促され、何も言い返すことができない。ここでカルロスのジェノザウラーと戦っても勝てる見込みは薄い。単騎ならともかく相手にはその圧倒的な数がある。それでも、何か、何か……。
「済まないカノン。どうやら俺はお前の希望通りに動けそうにない」
「ミライ……!?」
ミライが意を決し戦闘を始めようとした瞬間、どこからか放たれた閃光弾がまばゆい光を放ち、そこにいる者たちの視界を奪った。
『走れミライ!!』
「クリスか……!?」
ぼやける視界を他所に飛んできた通信の声の主にミライは驚きながら言葉を返す。走れと言われてもこちらも閃光弾の影響を受けている。
『サイファーを少し借りるぞ!』
今度はウルフの声だ。すると今度は操縦桿の制御が利かなくなり、サイファーがひとりでに後退し始めた。
「待てサイファー!! まだカノンが……!!」
『無理だミライ! 今はここから離れることを考えろ!!』
「だが……!?」
『手は打ってある!!』
「なっ……!?」
ウルフの言葉にミライは面食らってしまう。まさかこうなることを予想していたというのだろうか。だとしても自分から突き放した彼に文句言うことはできないのだが。だがいったいいつの間にそんなものを用意していたのだろうか……。
『兎に角今はウルフの言うことを聞いてくれ!!』
「……わかった。お前たちを信じる」
クリスの言葉に少しだけ冷静さを取り戻したミライはそれだけ言うと、後ろを振り向く。カノンがいるはずの、その場所を……。
もっと自分に力があればと思わずにはいられなかった。サイファーはシールドライガーTG、ブレードライガーと確実にスペックを、その力を上げている。では自分は? 自分はサイファーの進化についていけているのだろうか。
(俺は……)
遠くなっていく遺跡をしり目にミライは星空を仰いだ。
◆◆◆
「ようこそ。賢明な判断感謝しますよ」
「レベッカ、あなたはいったい何を考えているの?」
遺跡の中で補強され、通信設備が整った一室。今そこにカノンとレベッカはいた。強いまなざしでレベッカを見据えるカノンに、ふてぶてしく椅子に座る彼女は小さく笑う。
「安心してください。私はあなたを悪いようにはしません。肩の力を抜いてください。まあ無理な話かもしれませんが」
レベッカはカノンの質問に答える様子はない。だた、淡々と自分の用件だけを伝えていく。
「私はあなたをこれからある場所へ連れて行かなければなりません。とは言ってもゾイドイヴ探しも続けなければならないので今すぐにとはいきませんが。なのであなたはしばらく私たちと行動とともにしていただきます。脱走は考えない方がいいですよ。まず無理ですし、無茶をされるとこちらもそれ相応の対応をしなければなりませんから」
「………」
「さて、あなたの待遇についてはこれから移動しながら話させていただきます。さて、行きましょうか」
一方的に話を切ったレベッカは椅子から立ち上がり、カノンの手を引いて遺跡の外へと歩き出した。カノンはレベッカの真意が読めなかった。ここに来た時に言っていたゾイドイヴを使って世界を変えるという話。いくらなんでもむちゃくちゃすぎる。本当にそれが可能だというのだろうか。
しかしレベッカに手を引かれたとき、カノンは彼女のことを、ほんの少しだけ理解する。
「レベッカ、あなた……」
「……その話はまた別の機会に」
私と同じ、と続く前に話をさえぎられてしまう。古代ゾイド人だという話ではない。レベッカは紛れもなく人の子だ。しかしそういったところとはまったく別のところで彼女たち二人は近い存在だった。
「あなたには私のフォックスに乗ってホエールキングまで移動していただきます。ちょっと狭いですが我慢してください」
「……わかった」
レベッカの言葉にカノンは一度だけうなづく。ここはしばらくいうことを聞いていた方がいいだろう。おそらく危害は加えないという彼女の言葉に嘘はない。だからこそフォックスへの同乗を指示したのだから。その確信と共に、カノンはレベッカの手に引かれていった。
◆◆◆
「それで、お前たちの言う策とは何だ?」
一方こちらは無事離脱に成功したミライたち。なぜついてきただの、どうして俺たちの居場所が分かっただの色々問いただしたいことはあるがとりあえず今一番聞かなければならない情報はこれだろう。
「それは私から説明しよう」
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クリスたちの背後から現れたのは、情報屋ランスロットだった。しかし普段の世捨て人のような姿とはちがいしっかりとした服に身を包み、まるで騎士のようにたたずむ彼にミライは困惑気味に名前を呼ぶ。口調も普段のおちゃらけたものとは違う。
「カノン嬢がアーサーの手に渡ったのであればもはや一刻も猶予もない。君にすべてを話す。その代り我々に協力してもらいたい」
「何の話だ……?」
「君が手に入れた録音データの話だ。あの話に出てくる歴史から消えた国とはブリテン。そしてその国を治めていた王の名はアーサー」
「アーサーだと? ……まさかレベッカが!?」
「その通り。彼女はゾイドイヴに選ばれたアーサー王の血をこの世界でも最も色濃く受け継ぐ存在だ」
「ゾイドイヴに、選ばれた……!?」
立て続けに出てくる聞きなれない言葉にミライは困惑する。当然だろう。いきなり王様だの選ばれただの、冷静に受け止められる方がどうかしている。
「……そうだな。順を追って話そう。我らの祖先が地球にいたことから存在するアーサー王伝説の話からだ」
言い終わったランスロットはふう、と息を吐き、煙草とライターを取り出し、煙草に火をつけた。
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