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2013年4月 アーカイブ

2013年4月15日 23時20分16秒 (Mon)

感想「ウェブ社会を生きる 著:西垣通」

  西垣通氏の本著は2007年に出版された物であるが、近年の状況を見てもよい先見の明があったと言えるだろう。この本の中の多くの指摘が2013年現在も問題としてのこっていることがらであり、それらは人類の将来の発展を考える上では目をそらしてはいられないことであると自分は考える。 

 例えば、本著の中でウェブ2.0と呼ばれていたインターネットのシステム、特にアフィリエイト広告に関するいくつかの問題は既に現実で「ステルスマーケティング」という呼び名で一般的には敵視されていることとなっている。実情を考えてみればそれほど問題にするような事柄ではないが、物事を表面的にしかとらえない輩、既得権益の保守にこだわる輩の間ではこじれた問題だと言えるだろう。

 そして、養老孟司氏の提唱した「バカの壁」からさらに一歩踏み込んだ「関係する」という意味での情報伝達の在り様にも非常に興味をそそられた。その文章の分かりやすさもさることながら「ならばどうするべきか」という線にまで、模索途中と言えども踏み込んだことは生産的なことで、自分は尊敬したいと考えている。

 しかし、「気に入らない」と考えている点もいくつかある。一つは、「東と西」というあまりに大雑把なレッテル張り、もう一つは四章の「オートポエイティック・システム」に関する一連の下りだ。

 前者は文化圏としての東、つまり日本や中国などのアジア諸国を一括りにし、また欧米諸国を西側として一括りにすることで対比しようとしていることだ。どこの国もそれぞれの国家の歴史があり、宗教などに共通する事項はあれど、それぞれの国での扱いはさまざまなはずだ。だのにこのようなざっくばらんなくくりでは1章などで論じた情報伝達のあり方をあまりに無視しているのではないかと思うのだ。

 後者は、それまではおおよそ簡便な話で理解しやすかったのに対し、急に記号的な単語の使い方を頻繁に行っていることで、逆にわかりにくくなっていることである。この章だけ翻訳ミスでもしたのではないかと言う具合に~~システムだの、~~理論だのという言葉が飛び交っているのだ。一本調子な文章も飽きられてしまうだろうが、また著者の頭の中だけにある論争のような文章でも人はひきつけられないと思うのだ。

 今後の生活を考えるという観点でも、そして文章を作るという観点でも有意義な読書であったと思う。本著の作者西村通氏にはあらためて感謝を。そしてこの文章もまた自分の骨肉として意味のあるものにしたいと思う。


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