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2018年2月18日 21時29分51秒 (Sun)
運命の戦士1部16話4節「決断と先達」
アギトライブの喪失――
「いよいよお前は最後の選択をするというわけだ」
マサキ・ケイゴが問うてくる。
「お前ならわかるだろう。光エネルギーコンバータが無くとも光はお前の中にある。コンバータの役割は人間を光に変えることじゃあない」
「光から人に戻るために必要なもの」
そうだ。とマサキが首肯する。ならばアギトライブなしで戦うということは
「お前は二度と人間に戻れない……光の戦士は万能だ。姿だけならば誤魔化すこともできるだろう。しかし、だ」
変身したが最後、お前は完全に別の生命体になるのだと――先人はただ、自明のことを確認するように告げた。
「いよいよお前は最後の選択をするというわけだ」
マサキ・ケイゴが問うてくる。
「お前ならわかるだろう。光エネルギーコンバータが無くとも光はお前の中にある。コンバータの役割は人間を光に変えることじゃあない」
「光から人に戻るために必要なもの」
そうだ。とマサキが首肯する。ならばアギトライブなしで戦うということは
「お前は二度と人間に戻れない……光の戦士は万能だ。姿だけならば誤魔化すこともできるだろう。しかし、だ」
変身したが最後、お前は完全に別の生命体になるのだと――先人はただ、自明のことを確認するように告げた。
2017年10月30日 21時05分22秒 (Mon)
ウルトラマンをみた
空が落ちてくると、一瞬思った。
違う。見上げた先にあるのは巨大な脚だ。高さとかは正直分からない。この時自分の頭は冷静な働きを放棄していたのだ。
視界を埋めるような巨大な怪獣が歩いている。脚が動くたびに地面も揺れて、自分の体が震えたのは怖かったのか怯えていたのか。
逃げ出そうにもまともに歩くのも大変だ。瓦礫が崩れ、土煙が上がり、どこに進んだら安全なのかもわからない。
そのうち怖くて動けなくなった。自分の体で心臓だけが激しく動いていた。怖い、怖い、死にたくない、死にたくない。
怪獣がいよいよ迫って、自分は影に入って、暗い。
その時だった。光が自分と怪獣の間に突き立って自分を照らした。光は怪獣を後退させて、巨大な人の形になる。
光る目をした銀色の顔が自分に向けられた。
頷く。
自分はようやく大きく息を吸えた。心臓の音が聞き取れるぐらいには落ち着いた。
走れ!走れ!走れ!
震えていた脚が動き出す。光の巨人が自分の行く道も照らしていた。
巨人はもう怪獣の方に向いている。大きな背中が頼もしくて、それきり自分は走り続けた。
違う。見上げた先にあるのは巨大な脚だ。高さとかは正直分からない。この時自分の頭は冷静な働きを放棄していたのだ。
視界を埋めるような巨大な怪獣が歩いている。脚が動くたびに地面も揺れて、自分の体が震えたのは怖かったのか怯えていたのか。
逃げ出そうにもまともに歩くのも大変だ。瓦礫が崩れ、土煙が上がり、どこに進んだら安全なのかもわからない。
そのうち怖くて動けなくなった。自分の体で心臓だけが激しく動いていた。怖い、怖い、死にたくない、死にたくない。
怪獣がいよいよ迫って、自分は影に入って、暗い。
その時だった。光が自分と怪獣の間に突き立って自分を照らした。光は怪獣を後退させて、巨大な人の形になる。
光る目をした銀色の顔が自分に向けられた。
頷く。
自分はようやく大きく息を吸えた。心臓の音が聞き取れるぐらいには落ち着いた。
走れ!走れ!走れ!
震えていた脚が動き出す。光の巨人が自分の行く道も照らしていた。
巨人はもう怪獣の方に向いている。大きな背中が頼もしくて、それきり自分は走り続けた。
2014年5月27日 20時19分49秒 (Tue)
CE73,11/29 ジブラルタル①
ザフト軍艦ミネルバ艦長タリア・グラディスは自室で一人自意識に沈み込んでいた。
先日、彼女の直接の部下であるアスラン・ザラとメイリン・ホークが情報漏洩及び脱走の罪で処断された件での尋問からようやく解放されたところであった。
(なぜ)
彼女の胸中に訪れるのはそればかりである。彼女から見て、アスランやメイリンにはなんら怪しいそぶりは見られなかった。特にアスランなど、真面目過ぎて過労がたまりはしないかと
不安になったほどだ。
(なぜ、どうしてこんなことになってしまったのかしら)
アスラン、メイリンの両名に直接手を下したのは同じく部下であるシン・アスカだという。タリアはシンの事を考えた。仲間に手をかけるとは一体どんな気持ちだったのだろう。アスランとは常に衝突していたシンだ、もしや積極的に引き金を引いたのだろうか。それとも、同行していたというレイの言葉に従って?
自分があまりに下衆な勘繰りをしている、と思ったタリアはため息をついて窓の外を眺めた。見慣れたザフト軍の船と並んで、シュミレーションや資料、そしてこれまでの交戦で敵として戦ったような型の船が並んでいる。彼女の経験のどれにもない、異様な光景であった。
多国籍軍。世界経済の陰から戦争を煽る「ロゴス」を討たんと、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの呼びかけで集う「反ロゴス同盟軍」である。このジブラルタル基地はその総司令部がおかれ、呼びかけに答えた世界各国の軍が集まるポイントにもなっていた。
未だ夜も明けるか明けないかという時間だというのに多くの人々が活動していた。皆雨具を付け、時には怒号にも聞こえるような指示を飛ばしあっている。
装備の種類も違うような軍が同盟を組み集まっているのである。物資一つを運び込むのにつけても通常の倍以上の手間となる。それに追い打ちをかけているのが連日の悪天候であった。
ほの暗く分厚い雲が四六時中雨を降らせ、作業効率を停滞させていた。タリアが尋問されている間、代理としてミネルバの管理を任されていたアーサー・トラインによれば、早い段階でジブラルタルに入港していたミネルバは難を逃れたものの、各所で搬入物資の行き違いが頻発し、トラブルが絶えないのだという。
(どこもかしこも大騒ぎね)
今後を思い、暗澹たる様を想像したタリアは、デスクの上にある一人息子の写真に目をやった。まだ前大戦すら始まる前の息子は弾けるような笑顔をタリアに向けている。まだ未来に明るさが見えていたころを思い、失われた若者二人の命を思った。去来する虚しさに耐えられず、タリアは自室を出た。今のところ急ぎの仕事は無い。自分にも心を落ち着かせる時間が必要だ、と判断して。
タリア・グラディスの副官、アーサー・トラインはこれから向かう格納庫の方を見て露骨に顔をしかめた。プラント生まれプラント育ちで地球勤務経験の無い彼は生粋のプラント人であり、地球の自然現象は知識でしか知らない。
管理されたものではない自然の雨が彼は苦手だった。無秩序で仕事を遅らせるし、この季節ともなれば少し浴びれば底冷えするような冷たさだ。
借りてきた雨具をよく着込んだアーサーは駆け足で目的地まで向かった。
仕事がようやく一段落というところで、アーサーはふと見知った人物が同じ格納庫に入ってきたことに気付いた。同じ艦に乗っているシン・アスカだ。
アーサーはシンも苦手だった。ほかのパイロットと達に比べてシンはどうにも素直でない。歳も近いことからアスランにも同情的だったのも手伝い、シンへの苦手意識は大きくなっていた。
そんなアーサーが、シンと目が合ったことで思わず「げ」と小さく洩らしたのも無理からぬことだった。
「お疲れ様です、トライン副長」
おや、とアーサーは思う。またぞろトラブルを持ち込むのかと身構えていただけに毒気を抜かれた。
「今、お時間はありますか?お願いしたいことがあるんですが」
良く見ればシンは見慣れない制服を着た人物を一人連れている。若い連合の士官のようだ。
構わないよ、と答えるとシンは事情を説明した。
曰く、一緒にいる連合の士官はサイ・アーガイル中尉という連合の補給部隊の隊長の一人で、今回の反ロゴス同盟の招集に応じて連合の部隊に補給物資を持ってきたのだが、基地側からの通達に手違いがあったらしく、船が入るように言われていたスペースに先着がいてトラブルが起こったそうだ。
たまたま居合わせたシンがその場を仲裁し、この問題を解決できる権限を持った人物を一緒に探してきたらしい。
連合の人だけだとトラブルがたえませんから、と言ったシンの言葉にアーサーは素直にうなずいた。数日前まで敵対していた陣営の者同士である。すぐ仲良くしろ、という方が難しいだろう。
「副長なら黒服でおられますし、なんとかできないでしょうか」
どうもシンの様子がいつもと違うようだ、とアーサーは思う。どこが棘がとれているというか、一歩引いたところがあるというか、とにかく様子が違うのだ。
変化に戸惑ってはいたものの、とにかく持ちかけられた問題は自分の権限でどうにかなりそうだったので引き受けてしまったアーサーは、別の仕事があるのだというシンと別れ、アーガイル中尉を伴って件のドッグに向かった。若いのに立派な兵士だと、シンを褒めるアーガイル中尉の言葉はアーサーにはひどく印象的だった。
先日、彼女の直接の部下であるアスラン・ザラとメイリン・ホークが情報漏洩及び脱走の罪で処断された件での尋問からようやく解放されたところであった。
(なぜ)
彼女の胸中に訪れるのはそればかりである。彼女から見て、アスランやメイリンにはなんら怪しいそぶりは見られなかった。特にアスランなど、真面目過ぎて過労がたまりはしないかと
不安になったほどだ。
(なぜ、どうしてこんなことになってしまったのかしら)
アスラン、メイリンの両名に直接手を下したのは同じく部下であるシン・アスカだという。タリアはシンの事を考えた。仲間に手をかけるとは一体どんな気持ちだったのだろう。アスランとは常に衝突していたシンだ、もしや積極的に引き金を引いたのだろうか。それとも、同行していたというレイの言葉に従って?
自分があまりに下衆な勘繰りをしている、と思ったタリアはため息をついて窓の外を眺めた。見慣れたザフト軍の船と並んで、シュミレーションや資料、そしてこれまでの交戦で敵として戦ったような型の船が並んでいる。彼女の経験のどれにもない、異様な光景であった。
多国籍軍。世界経済の陰から戦争を煽る「ロゴス」を討たんと、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの呼びかけで集う「反ロゴス同盟軍」である。このジブラルタル基地はその総司令部がおかれ、呼びかけに答えた世界各国の軍が集まるポイントにもなっていた。
未だ夜も明けるか明けないかという時間だというのに多くの人々が活動していた。皆雨具を付け、時には怒号にも聞こえるような指示を飛ばしあっている。
装備の種類も違うような軍が同盟を組み集まっているのである。物資一つを運び込むのにつけても通常の倍以上の手間となる。それに追い打ちをかけているのが連日の悪天候であった。
ほの暗く分厚い雲が四六時中雨を降らせ、作業効率を停滞させていた。タリアが尋問されている間、代理としてミネルバの管理を任されていたアーサー・トラインによれば、早い段階でジブラルタルに入港していたミネルバは難を逃れたものの、各所で搬入物資の行き違いが頻発し、トラブルが絶えないのだという。
(どこもかしこも大騒ぎね)
今後を思い、暗澹たる様を想像したタリアは、デスクの上にある一人息子の写真に目をやった。まだ前大戦すら始まる前の息子は弾けるような笑顔をタリアに向けている。まだ未来に明るさが見えていたころを思い、失われた若者二人の命を思った。去来する虚しさに耐えられず、タリアは自室を出た。今のところ急ぎの仕事は無い。自分にも心を落ち着かせる時間が必要だ、と判断して。
タリア・グラディスの副官、アーサー・トラインはこれから向かう格納庫の方を見て露骨に顔をしかめた。プラント生まれプラント育ちで地球勤務経験の無い彼は生粋のプラント人であり、地球の自然現象は知識でしか知らない。
管理されたものではない自然の雨が彼は苦手だった。無秩序で仕事を遅らせるし、この季節ともなれば少し浴びれば底冷えするような冷たさだ。
借りてきた雨具をよく着込んだアーサーは駆け足で目的地まで向かった。
仕事がようやく一段落というところで、アーサーはふと見知った人物が同じ格納庫に入ってきたことに気付いた。同じ艦に乗っているシン・アスカだ。
アーサーはシンも苦手だった。ほかのパイロットと達に比べてシンはどうにも素直でない。歳も近いことからアスランにも同情的だったのも手伝い、シンへの苦手意識は大きくなっていた。
そんなアーサーが、シンと目が合ったことで思わず「げ」と小さく洩らしたのも無理からぬことだった。
「お疲れ様です、トライン副長」
おや、とアーサーは思う。またぞろトラブルを持ち込むのかと身構えていただけに毒気を抜かれた。
「今、お時間はありますか?お願いしたいことがあるんですが」
良く見ればシンは見慣れない制服を着た人物を一人連れている。若い連合の士官のようだ。
構わないよ、と答えるとシンは事情を説明した。
曰く、一緒にいる連合の士官はサイ・アーガイル中尉という連合の補給部隊の隊長の一人で、今回の反ロゴス同盟の招集に応じて連合の部隊に補給物資を持ってきたのだが、基地側からの通達に手違いがあったらしく、船が入るように言われていたスペースに先着がいてトラブルが起こったそうだ。
たまたま居合わせたシンがその場を仲裁し、この問題を解決できる権限を持った人物を一緒に探してきたらしい。
連合の人だけだとトラブルがたえませんから、と言ったシンの言葉にアーサーは素直にうなずいた。数日前まで敵対していた陣営の者同士である。すぐ仲良くしろ、という方が難しいだろう。
「副長なら黒服でおられますし、なんとかできないでしょうか」
どうもシンの様子がいつもと違うようだ、とアーサーは思う。どこが棘がとれているというか、一歩引いたところがあるというか、とにかく様子が違うのだ。
変化に戸惑ってはいたものの、とにかく持ちかけられた問題は自分の権限でどうにかなりそうだったので引き受けてしまったアーサーは、別の仕事があるのだというシンと別れ、アーガイル中尉を伴って件のドッグに向かった。若いのに立派な兵士だと、シンを褒めるアーガイル中尉の言葉はアーサーにはひどく印象的だった。
プロフィール
- 発光体
- なんかプラズマって炎とかを物質の状態としてあらわした言葉らしいです
- 自己紹介
- 某所から巡り巡ってここに流れてきました。遅筆、駄文ですがどうぞよろしく
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