銀嶺の人(新田次郎)
2013年5月1日 16時21分11秒 (Wed)
新田次郎の三部作『孤高の人』、『栄光の岩壁』、そしてこの『銀嶺の人』を読んでみました。
良い本でした。
以下あとがきから
女医を目指す、勝気な“泣かない子”であった駒井淑子は、冬の八ヶ岳で単独行を試みて遭難しかかった時、若林美佐子と出会う。鎌倉彫の新鋭彫刻家として注目されていた美佐子は、無口ですぐに“涙ぐむ子”であった。死を覚悟した二人を事もなげに助け出した三人の男性登攀家に魅入られて、彼女たちは、ついに初の女性隊によるマッターホルン北壁登攀への挑戦を試みる‥‥。
マッターホルン、アイガー、グランドジョラスと、女性で初めてヨーロッパ三大北壁に挑む淑子、新婚山行をドリュー西壁に試みる美佐子‥‥、二人の仕事を持った女性が、岩壁登攀に青春をかける。対照的な女性登攀家の姿を通し、「孤高の人」「栄光の岩壁」とともに、大正の終わりから現在に至るまでの約50年間の社会人登山家の足跡を追い、何故山に登るのかという問いを執拗に追求する。
二人の紹介が終わったところで著者としてひとことことわって置きたい。今井通子さんも若山美子さんもこの小説のモデルではあるが、『銀嶺の人』に登場する人物そのものではない。現実と虚構の世界は全く別なものである。他の登場人物もすべてこのように考えていただきたい。
私が『銀嶺の人』を書くに当たって意図していたものは『孤高の人』『栄光の岩壁』に続く、この『銀嶺の人』の三部作を以てなぜ山に登るかという問題についての答えにしたいということであった。この三作は何れも千枚を越す長編であり、三作を時間的に並べると、大正の終わりのころから現在に至るまでの約50年に近い社会人登山家たちの足跡を追ったことになる。この三部作の連携において、山はなにか、山になぜ登るかの答えが果たして出たであろうか。それは読書の皆様にお訊ねするしかないことだ。
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