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アプリ依存の子どもたち

メッセージに一喜一憂、ゲームで浪費…アプリ依存の

2013/7/31  日本経済新聞 電子版
 
 少女たちはメッセージアプリで友達と長時間つながり、届いたテキストの内容に一喜一憂する。少年たちはゲームアプリに没頭してバイト代をつぎ込み、寝食を忘れてネットの世界で活動する――。小学校高学年から中学生、高校生たちにスマートフォン(スマホ)が急速に広がるなか、様々な課題が浮上してきた。本連載では、スマホを肌身離さず持ち歩く「スマホチルドレン」の現状を、中学校での生徒指導経験が豊富な兵庫県立大学の竹内和雄准教授がアンケートとインタビューで明らかにする。親世代がうかがい知れない驚くべき実態がある。
 
 「スマホのソーシャルゲームにはまって、平日は10時間、休みの日は18時間、食事と風呂以外ずっと。友達もみんなやっていて、長時間続けようと思ったら課金が必要。毎日頑張ってゲームするんですが、一方で、必死でバイトをして。一度に1万円以上(ゲームに)つぎ込んだこともあります」(高校3年生、男子)。
 「高1のころはグリーとかアメーバ、最近はLINEやツイッターかな。ずっとスマホを触っていて、みんなの動きを分かっていたい。私はちょっと前までガラケー(「ガラパゴス携帯電話」の略。いわゆる従来型の携帯電話)で、みんなの動きについていけなかった。お母さんに頼みまくって、最近やっとスマホで快適に。テスト前も横に置いて、みんなで『寝ずにがんばろう』とか、ついつい書き込みに夢中になって、勉強どころじゃなくなる。めんどうくさいこともあるけど、スマホないとやっていけないかも。今年(2013年)の1年生は、入学前にツイッターとLINEで半分ぐらいがつながって、入学式前に仲間がもうできていたみたい」(高校2年生、女子)。
 こうした声は特別なものではない。大人が知らないだけで、高校生の多くは同じような生活の中にいる。そのまま抜けられなくなる子もいれば、途中ではっと気づいて元に戻る子もいる。上記の男子生徒は、ある日、ネット上で会った大人に諭され、今は受験勉強に取り組んでいる。

■スマホ使用者はイライラしやすい?

 
 筆者は兵庫県立大学で教職を目指す学生の指導のほか、いじめやネット問題など、「困っている子」への効果的な対応方法を研究している。2012年11月に大阪の小学生1583人と中学生1009人に、「スマホ・ケータイ・アンケート」を実施。「携帯電話(ガラケーまたはスマホ)不所持」「ガラケー使用」「スマホ使用」の生活状況と精神状態などについて、クロス集計を行った(図1)。
 そこから浮かび上がってきたのは、スマホから離れられない「スマホチルドレン」の実態と、スマホが子供たちの生活に与える影響の強さだった。小中学生のスマホ使用者は、ガラケー使用者や携帯電話不所持者よりも高い割合で「イライラすることがある」と答えている。「卵が先か、鶏が先か」の議論同様、このアンケートだけでは、スマホの所持とイライラの因果関係までは明確にはわからない。スマホの影響と断言はできないが、このグラフだけでも、スマホを使用する子どもたちに何かが起こっていることはうかがい知れる。

■高校生の4分の3がスマホを所持

 2013年4月、筆者が大阪府の公立高校1年生358人対象に調査したところ、予想通り、男女ともにほぼ全員が携帯電話を持っていた。そのうちスマホの使用者の割合は、75.8%(男子71.4%、女子81.2%)だった。実に4分の3がスマホを使っている
 ガラケーを利用している高校生に聞くと「次の買い換えでスマホに絶対買い換える」「ガラケーだと、LINEとかで乗り遅れてしまうから肩身が狭い」「2年以内に買い換えたらお金がかかるので、お母さんから次まで待ちなさいって言われてる」など、ほぼ全員が次の買い換えでスマホの購入を計画している。スマホの広がりはさらに加速しそうである。
 ここで、改めてスマホの特徴を整理してみよう。大別すると3つある。
 一つめは、高い性能と高い操作性だ。高性能なため、パソコン並の高度な作業ができ、便利である。
 二つめは、Wi-Fi(無線LAN)を使用できること。ガラケーは主に携帯電話会社の3G(第3世代携帯電話)回線でインターネットに接続するが、スマホは3G回線のほかにWi-Fiも使用できる。3G回線なら携帯電話会社のフィルタリングサービス(有害サイトへのアクセスを制限するサービス)を設定できたが、Wi-Fi経由だとフィルタリングが難しい。携帯電話会社の管理下にない通信経路だけを通ってネットに接続することもできるからだ。
 実際、多くの子どもたちはフィルタリング設定をしないままスマホを使っていて、さまざまな危険にさらされている。このことは意外と知られていない。
 最後に三つめは、多様なアプリをダウンロードできる点だ。例えばガラケーでは、カメラのシャッター音を消すためにそれなりの知識や技術が必要だったが、スマホではシャッター音の消去機能を備えたアプリをダウンロードするだけでいい。最近、エスカレーターや階段などでの盗撮事件の報道を頻繁に見聞きするが、こうしたアプリの存在も大きく影響していると感じる。
 

■「スマホを賢く使う」視点が不可欠

 スマホが子どもの生活に与える影響は、ガラケーとは比べ物にならないくらいに深刻になっている(図3)。「スマホ依存」「LINEでのいじめ」「オンラインゲームでの課金」など、スマホにかかわるニュースも連日報道されている。だが、子どもたちの実態を正確に表しているとは言い難い。
 
 
子どもの生活全体について考えることと等しい
 筆者の研究室に出入りする大学生が昨年(2012年)秋、「ソーシャルゲーム研究会」を結成した。インターネットの問題をソーシャルゲームという切り口で考えるためである。彼ら・彼女らとの議論の中で見えてきたのは、学生生活の中核部分にスマホがあること。だから、スマホについて考えることは、彼ら・彼女らの生活全体について考えることと等しい。大学生は新聞を読まない。ニュースはYahoo!ニュース。通学途中には、本を読まない。電車の中では、LINEやツイッターで友達との情報交換ばかりで、下宿部屋の多くにテレビがない。話題のドラマなどはYouTubeで事足りるという。ただし最近は著作権法が厳しくなり、状況が変わりつつあるそうだが。彼ら・彼女らとの議論から、これらの環境変化は、大学生以上に中高生への影響が大きいことがわかってきた。特にガラケー(従来型の携帯電話機)からスマホに携帯端末の主流が移行する今、問題が大きくなってきている。スマホの問題として見えてきたのは、ガラケー以上に依存性が高く、多くの子どもたちが危機に直面していることである。 しかも子どもごとに問題が異なっている。日本の携帯電話対策は、フィルタリングを国として基準を設けているなどこれまでは最先端を走っていたが、スマホの浸透によって激変した。スマホを使う子どもたちの大半が、フィルタリングを設定していない。フィルタリングを設定すると、子どもたちに人気の高いLINEにアクセスできなくなることが大きいと考えられる。スマホを手にすることで、子どもたちはパソコンを常に持ち歩くのと同じことができるようになった。ガラケー時代は、フィルタリングでほとんどの問題を解決できたが、スマホ時代のこれからはそうはいかない。「スマホを持たせない」ことは、危険な現状を考えると現段階では親として賢明な判断だと筆者は考えるが、子どもたちの世界でスマホがないハンディは想像以上で、よほど強い意志がないと親が子どもに根負けしてしまう。スマホにまつわる様々な問題を解決するためには、子ども自身が考えて、善悪を判断できるようにしていかなければならない。親として、一方的に禁止したり制限したりするだけでは十分ではない。普段から、ものの善悪の判断を含め、十分な話し合いをしておく必要がある。危険な環境から子どもたちを遠ざける努力を大人がしなければならないのはもちろんのこと、子どもが主体的に危険な環境には接触しない判断ができるように教育していくことが必要である。そのためにまず、子どもたちの置かれた環境や状況を知る努力が、親には求められている。だからこそ筆者は本連載を執筆しようと考えたのである。
竹内和雄
 兵庫県立大学環境人間学部准教授

 

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●文部科学省学習指導要領 教育の情報化の手引き検討委員

●東京都港区子ども・若者支援対策検討委員

●総務省青少年インターネットワーキンググループ構成委員

●文部科学省ネット安全安心全国推進会議委員

●横浜市子ども若者支援協議会検討委員

●東京都子どもネット・ケータイヘルプデスクトータルアドバイザー

●東京都公立学校非公サイト調査・削除要請トータルアドバイザー

●東京都教育相談センタートータルアドバイザー

●参議院国会議員政策担当秘書研修出講

●内閣府ユースアドバイザー養成プログラムテキスト作成委員

●文部科学省ネット安心安全全国推進委員

●文部科学省学校における情報モラル教育の推進事業企画委員

●文部科学省青少年を取り巻く有害環境対策推進事業企画委員

●国立奈良教育大学教育学部特別講師

●文部科学省先端情報通信技術を活用した教育・学習に関する調査検討委員

●文部科学省情報モラル指導者研修ハンドブック制作協力

●文部科学省子どもを守り育てる有識者会議、衆議院青少年に関する特別委員会にて

意見陳述。

 2015年2月17日(火)読売新聞2面「顔」
ネットで子供の悩みを聞く活動が10年目を迎えた教育評論家・安川雅史
http://www2.hp-ez.com/hp/revengeporn/page36
2015年2月20日(金)朝日新聞2面「ひと」
(ひと)安川雅史さん ネットのいじめに立ち向かう元高校教師
http://www2.hp-ez.com/hp/revengeporn/page35
2017年10月18日(水曜日)TONE MOBILE(TSUTAYAの格安スマホ)
教育×スマホを考えるsome-write
どうしたら子供を「LINEいじめ」から守れるか。加害者にも被害者させないために親ができること|TONEモバイル-TSUTAYAのスマホ
https://tone.ne.jp/column/education/line-bullying/ 

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