2.価値観を一言で書く
都立中作文の書き方(その2)
要約をしましょう
価値観を見つける、テーマを決めるというのは、
平たく言うと、要約するということです。
ここで、日本では“要約”について大きな誤解があります。
多くの参考書などで、
要約をするためには「文章の大事そうなところ」に線を引き、
それをまとめると要約になる、というようなことが書いてあります。
これは、言っていることは正しいのですが、いささか不親切です。
なぜなら、文章の大事なところに線を引けば、
それは確かに要約の重要な参考になりますが、
どこが大事かが判断できれば苦労はありません。
大事そうなところに線を引きましょうでは、
何の解決にもならないのです。
その方法では、当たる時には当たる、でもしばしば外す
ということになってしまいます。
例文で考えてみましょう。
以下のような文章があった時に、大事そうなところはどこでしょうか。
さて、焼きそばについて考えてみましょう。
焼きそばは非常に美味しく、価格も安く、具材によっては栄養も豊富です。
私も非常に大好きで、お祭りなどに行ったときには必ず食べています。
食べようとすれば、急いで食べることも、ゆっくり食べることもできます。
人と分けることもできます。おなかが膨れすぎることもないので便利です。
料理をする手間も簡単です。
最近ではキャベツ炒めようの具材がコンビニで売っています。
それをフライパンに入れて炒めるだけなので、食べる頻度は高くなっています。
さて、ここで大事な文章はどこでしょうか。
作者の思いや情報が入っているところに線を引き始めたら、
ほぼ全文ひいてしまうことにならないでしょうか。
この文章をまとめると以下の通りです。
- 焼きそばについて考える
- 焼きそばは美味しい・栄養豊富・好き・便利・手軽
- よく食べる
では、要約するとどうなるのでしょうか。
多くの方は、以下のどちらか、もしくは両方を思いつくと思います。
- 焼きそばはいい食べ物だ
- 私は焼きそばをよく食べている。
これらは、まとめとしては正しいと思います。
でも、これのどちらか、あるいは両方書いて、
それで要約ができた気になるのは早計です。
作者が言いたいことはどっちですか?
焼きそばが凄いといいたいのか。
私がよく食べるということをいいたいのか。
その話がどこに向かわせようとしているかによって、
作者の定めたいテーマは全く異なります。
- 主張:焼きそばはいい食べ物だ(だからよく食べている)
- 主張:焼きそばをよく食べている(いい食べ物だからだ)
さて、主張はどちらでしょうか。
現段階では判断ができません。
前後でどんな話が展開されているかによって判断が変わります。
どっちが主なのかによって、反論の仕方も変わります。
例を挙げます。
- 焼きそばはいい食べ物ではない
- 焼きそばは食べない方がいい
もしあなたに、体に悪いと思っていても食べてしまう食べ物があって、
この2つを言われたら、思うことは異なるはずです。
- 体に良くないといい食べ物じゃないのかよ!
※定義について議論 - 食べない方がいいことは分かってるけど食べてしまうんだよ!
※行動の是非について議論
以上のように、話が全然違ってしまうのです。
だからこそ、ここでは価値観は決まらず、
前後をしっかり読み解いて、
作者の価値観がどこにあるのか把握するために、
今一度読み直すことが重要となります。
価値観を正確につかむということが、いかに大切か、
分かりやすく説明できているでしょうか。
一言で正確に表現しましょう。
一言で表現してみることの大切さは、
もうイメージ頂けているでしょうか。
作者が言いたいことが結局何なのか、
より正確に掴むためには、
少しでも余分や妥協があってはいけないのです。
もちろん、一言で表現できていなければ、
試験場で大間違いを犯すかというとそうでもありません。
受検に出てくる文章はメッセージが明確な場合も少なくなく、
テーマをしっかり拾う意識があれば、
そこまで致命的なミスを犯してしまうということは
多くはないはずです。
ただし、普段の訓練では別です。
正確に考える習慣がついていれば、
ほぼ直感で、「このテーマは○○○だな」と思えます。
大仰に書かれた文でも、価値観からすると大した部分ではなく、
本筋から外れた雑談であることも少なくありません。
そういうことに気付けるようにもなります。
これらの訓練は、時間のかかる作業ではありません。
毎日の積み重ねで、だいたい1ヵ月ぐらいで慣れてきます。
他の科目や今後の学習の際にも、
「今のテーマは?」と丁寧に考える習慣にもなりますから、
この訓練は時間のある時にじっくりやっておくべきです。
価値観を見つけるヒント
慣れるまでのささやかなヒントですが、
大げさな言葉、曖昧な言葉はテーマになっていることが多いです。
私がよく例に挙げる、「チャーハン」の例で考えてみましょう。
「チャーハンは宇宙だ」
これは、イメージしやすいと思います。
チャーハンって凄いんだと伝えたいんでしょう。
だから、この文章の著者は、文章を書いているのです。
「チャーハンのスマートさ」
これはイメージしやすいでしょうか。
“スマート”って何ですか?
英単語では「賢明だ」とかそういう意味がありますけれども、
本来、食べ物に使いやすい言葉ではありませんから、
著者独自の曖昧表現である可能性が高いです。
だとすると、「チャーハンは○○○だ」の○○○に、
端的に入るような説明が見つかれば、
それは作者の価値観に近い可能性が高いです。
この方法なら、小学校中学年ぐらいでも、
あっという間に見つけるようになります。
何より、作者が何を言いたいのかが分かりやすくなります。
なぜなら、大げさな言葉や曖昧な言葉を書く理由は、
この文章に注目してほしいからなのです。
これを意識し始めて文章を読み始めた子は、
読むのが早くなったり、正確に読むようになったりします。
いろんな意味で、とても役に立つ方法ですから、
ぜひぜひお試しください。
結論です。線を引くのに、
「大事にそうなところ」なんていう曖昧な基準はやめましょう。
大げさな表現・曖昧な表現を見つけて、線を引くようにしてください。
そして、そこで言いたいことが結局何なのか、
それを明確にすることで、作者の価値観をつかむようにしましょう。