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2018年7月 アーカイブ

2018年7月30日 17時45分55秒 (Mon)

定番イヤホンがワイヤレス化、B&O PLAY「EARSET」レビュー♪

B&O PLAY

 

サウンドはEARSET 3iと同じく、音楽の芯に宿るエネルギーを余すところなく引き出すようなビビッドな力強さが魅力。ワイヤレスイヤホンになって一段と輝きが増したようだ。ボーカルの声に厚みと深みがあり、細かいニュアンスが自然に引き立ってくる。

Spotifyで配信されているエゴラッピンのミニアルバム「色彩のブルース」からタイトル曲を聴いてみる。楽曲を再生するとすぐ、中納良恵のスモーキーなボーカルの甘い色気が漂いはじめた。声のボディがふくよかで輪郭がにじまない。中高域にかけてゆったりと響く余韻の階調感もきめが細かい。懐の深い空間にサキソフォンやピアノ、エレキギターなどバンドの楽器の音像が鮮明に立った。アーティストのパフォーマンスが目の前に迫ってくるような臨場感を味わえるところが、EARSETシリーズの醍醐味だ。

ジャミロクワイのアルバム「Automation」から『Summer Girl』では、低音のインパクトが想像以上に鋭くバネが効いている。引き締まったビートの立体感が、EDMやロック、ポップス系のアップテンポな楽曲の緊張をさらに高めてくれる。低音の不快なダブつきや中高域への干渉もなく、安定したバランスの良いサウンドに何時間でも身をまかせていたくなる。

Beoplay H5などのワイヤレスイヤホンにも採用された、スマホアプリによるイコライジング機能もうまく使いこなしたい。Tone Touchの画面上で丸く白いアイコンを「EXCITED」「BRIGHT」「WARM」「RELAXED」の4つのエリア内で自由に移動させ、変わる音色をプレビューしながら好みのバランスにカスタマイズする。半密閉型のイヤホンなので、アウトドアリスニングを楽しむ際にはWARM/EXCITEDのポジションに傾けていくと、低音の存在感が際立ち、心地良さが増した。

EARSETは、Bang & Olufsenが伝統にあぐらをかくことなく、Bluetoothオーディオのトレンドを取り込みながら、期待を超える完成度に到達したワイヤレスイヤホンだ。
3モデルともに、最先端の音声アシスタント機能を巧みに取り込みながら、音質にも一切の妥協が感じられない。JBLの底力を感じた。これからGoogleアシスタント搭載のヘッドホン・イヤホンが増えそうだが、安定した使い勝手と音質を備え他JBLのEVERESTシリーズは、当面のあいだリファレンスになりそうだ。


















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2018年7月28日 18時21分09秒 (Sat)

Googleアシスタント搭載のJBLの新ヘッドフォン「EVEREST」!レビュー♪

JBL

スマートスピーカーの音声アシスタントとして広く知られるようになり、おなじみになってきたGoogleアシスタント。ヘッドホンやイヤホンにGoogleアシスタントが内蔵されると何が便利になるのか。

■「OK、グーグル」なしで起動するGoogleアシスタント搭載モデル

JBLが発売したGoogleアシスタント搭載のポータブルオーディオ機器は、アラウンドイヤーのヘッドホン「EVEREST 710GA」(¥25,000前後)、オンイヤーヘッドホン「EVEREST 310GA」(¥20,000前後)、そしてネックバンドスタイルのイヤホン「EVEREST 110GA」(¥10,000前後)とそれぞれ個性あふれる3機種だ。

いずれもスマホとBluetoothで接続すると、クラウド上のGoogleアシスタントと連携。ユーザーはヘッドホン・イヤホンに搭載されたマイクに話しかけて操作する。

スマートスピーカーとの大きな違いは、トリガーワードである「OK、グーグル(ねえ、グーグル)」を発声する必要がないこと。代わりにヘッドホン・イヤホンに搭載されている「Googleアシスタントボタン」(タッチセンサー式の場合もある)を押すとGoogleアシスタントが起動し、話した内容へ、機敏に正確な応答を返してくる。「Yahoo! MAP」や「Philips Hue」などActions on Googleのスマート機能も、ヘッドホン・イヤホンから音声で同様にコントロールできる。

■実際にどう使える? 街に出て確かめた

Googleアシスタントは、ウェブ検索や音楽再生・ハンズフリー通話など、日ごろからスマホでよく使う機能を、音声入力やテキストチャットによる対話形式で操作できる音声アシスタントだ。

スマホとヘッドホンの連携により、このGoogleアシスタントでどんな便利なことができるようになるのか? JBL EVEREST 710GAを持って、街で実践してみた。

 Googleアシスタントに「有楽町でハン・ソロをやっている映画館は?」と訊ねると、TOHOシネマズ 日比谷で上映されていることと、さらに上映スケジュールまで音声で案内してくれた。音声ガイドが聞き取りづらかった場合は、スマホのGoogleアシスタントアプリに検索結果が表示されるので、上映時間も目で見てしっかり確認できる。

秋葉原から有楽町への移動手段については、本当はわざわざGoogleアシスタントに聞くまでもないのだが、あえて検索してみると、運行時間も調べられる。乗り継ぎが不安な場合など、わざわざスマホを取り出さなくてもOKなのは便利だ。

 

710GAは耳をゆったりと包み込むイヤーカップのフィット感が良い。サウンドもフラットなバランスと柔らかさが印象に残る。外観は高級感あふれるメタリック仕上げ。音も落ち着いていて上品だ。ミドルレンジの張り出しが穏やかで、ボーカルの細かなニュアンスが自然と引き立ってくる。クラシックピアノは繊細な音の輪郭線まで正しくトレースする。余韻も十分にふくよかだ。低域の量感は控えめでありながら芯の強さもしっかりと感じられる。長時間の音楽リスニングも疲れずに楽しめた。

 

オンイヤースタイルの310GAは、710GAに比べるとミドルレンジの厚みを素直に張り出してくる。本機も低域の量感をアピールしてくるタイプではなく、鋭い弾力感のあるビートをビシバシ刻んでくる。ロックやEDMの楽曲は貫禄のあるサウンドがとても心地よく感じられた。ボーカルの抜け味がよく、ロックやポップスの歌ものの楽曲と相性が良かった。イヤーパッドによるパッシブな遮音効果も高く、クラシックピアノの演奏は躍動する指先のイメージや弱音の音像も明快に伝わってきた。余韻の快調感もきめ細かい。

 

イヤホンの110GAは、3機種の中では最もメリハリの効いたサウンドが特徴だ。低音も力強くシャープな印象を受けた。ボーカルは滑舌がよく、710GAや310GAよりもパワーを前に押し出してくる。音色がカラッとしていて、爽やかな後味を残す。アグレッシブなロックやジャズのビッグバンドによる演奏も軽やかに鳴らし切った。

3モデルともに、最先端の音声アシスタント機能を巧みに取り込みながら、音質にも一切の妥協が感じられない。JBLの底力を感じた。これからGoogleアシスタント搭載のヘッドホン・イヤホンが増えそうだが、安定した使い勝手と音質を備え他JBLのEVERESTシリーズは、当面のあいだリファレンスになりそうだ。


















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2018年7月23日 17時59分06秒 (Mon)

完全ワイヤレスイヤホンで音も機能も、安心も! M-SOUNDS「MS-TW2」レビュー♪

M-SOUNDS

 

■連続再生時間の延長と軽量化を両立!

それでは製品を見ていこう。まずバッテリー周り。イヤホン本体にせよケースにせよ、頻繁に充電が必要だと面倒なので、本体の連続再生時間はより長く、ケースでの充電回数もより多いのが理想だ。

MS-TW1は「本体2〜2.5時間+ケースで約3回分の充電」だったところ、MS-TW2では「本体2.5〜3時間+ケースで約5回分の充電」と、実使用で明確なスペックアップを実現している。本体の連続再生時間が伸びている上、ケースでの充電回数も増えているわけだから、トータルの再生時間を考えるとその差は大きい。

低めの数値で見積もっても、MS-TW1は「2時間+2時間×3回=8時間」、MS-TW2では「2.5時間+2.5時間×5回=15時間」というわけだ。これなら1週間に1度ケースを充電すれば十分使える!というユーザーも増えることだろう。

さらに、イヤホンをケースで15分充電すると約1時間の使用が可能なクイック充電機能も新たに搭載。これもなかなか便利だ。

そしてバッテリー強化と相反しがちな携帯性についても、MS-TW2はさらに向上させている。

■購入から1年以内に紛失・水没・破損のいずれかが起こった場合、特別価格で各パーツを再購入できるというもの。
●イヤホンは片側2,500円(税込&送料込)
●充電ケースは2,500円(税込&送料込)
●あんしん補償サービスの対応期間は、製品購入から1年間

という内容で、手続きはサポートページに用意された申し込みフォームから行える。

この価格なら、もしも片方をなくしたり壊してしまったりしても「もう新しいの買った方が安い」なんてことにはならないだろう。まさに「あんしん」

★音質傾向
いきなり身も蓋もなく言ってしまうと、“この価格で求められて当然”というところにはしっかり応えてくれる。騒がしい屋外でも音楽を楽しみやすい明快さを備えたイヤホンと思わされた。

相対性理論「夏至」冒頭、スネア連打からのイントロを聴いただけで、このイヤホンがバシバシっとほどよい荒さでの迫力、抜けやキレを持っていることがわかる。音の濁点成分の出し方を例にあげると、和らげるタイプではなくしっかり出してくるタイプ。

しかしその出し方が荒っぽすぎることはなく、楽器の迫力は出しつつ、一方でガサガサにしたりはしない。

シンバルなどの高音のシャープさや抜けも、Bluetooth伝送で圧縮された事を考えれば十分納得。超高域にすっと伸びるほどではないが、音は詰まらせず、無理に伸ばしていない。おかげで音の芯は“コツン”と明確に立っている。屋外でのリズムの届きやすさという観点からすれば長所と言える。

Robert Glasper Experiment「Human」では、様々な音が馴染み溶け合うソウルフルな雰囲気の再現は少し物足りない。だが逆に音同士の分離がはっきりしているおかげで、音数という意味での情報量は十分に確保。

クラブ系のディープなベースも、底の響きまでは拾えないが、主な太さや重みは伝えてくれる。1万円以下という価格を見て、あまり期待せず試したイヤホンファンが驚くであろう、しっかりとした印象の音質。

















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2018年7月12日 17時53分29秒 (Thu)

5,000円級Bluetoothイヤホンならラディウス「HP-N100BT」レビュー♪

ラディウス

 

 5,000円前後でなるべく音の良いBluetoothイヤホンを選ぶ際、心からおすすめできる製品がある。ラディウス “Pure Flat”シリーズの「HP-N100BT」である。

■どんなジャンルでもバランス良好、サウンドチューニングの巧さが光る

最初に強調したいのは「音質のよさ」である。これがまあ、本当に、かなり良いのだ。もし価格を知らずに音だけ聞いたら、まず間違いなく1万円程度、あるいはそれ以上の製品と判断するだろう。それほど完成度が高い。

先に伝えておくと、BluetoothのコーデックはSBCのみ。一般的に、より高音質と言われるAACやaptXに対応していないことを、残念に感じるかもしれない。だが実際の音を聴くと、その懸念はすぐに払拭された。SBCやAACといったコーデックだけで音質を語れないということを改めて実感した。AACに対応していても、これより音が良くない製品は数多い。

ではどういう音かというと、一言で説明すると「穴がない」。こう鳴って欲しい、というサウンドをしっかり届けてくれる。特定の帯域に強かったり、あるジャンルに特化しているものは、逆にあまり得意でない帯域やジャンルがあるものだが、HP-N100BTはクラシック、ジャズ、ポピュラー、ヒップホップ、EDM、なんでもハイレベルにこなす。

具体例を挙げていこう。試聴はiPhone Xで行った。女声ボーカルはカーペンターズ「I need to be in love」で確認。しっとりと張りのあるカレンのボーカル、安定した発声のなかの、微細な心地よいゆらぎまで克明に再現する。ディープアルトの豊かで深い声域から、サビの部分の高音部まで、余裕で追従し、揺るぎない。ブレスや唇の擦過音までリアルに再現するのは、ポテンシャルの高さゆえだ。さらに、背景のフルートやハープ、ストリングスもしっかりと分離し、見通しが良い。

男声ボーカルはボズ・スキャッグス「We're all alone」を聴いた。導入部のしっとりとした歌い出しはあくまでふくよかに、それでいてサビのシャウト気味の部分はキレよく再現する。伸ばした声が消えゆく際の余韻も美しい。その裏に流れる流麗なストリングスの滑らかさも出色の仕上がりだ。

続いてジャズの名曲、オスカー・ピーターソン・トリオ「You Look Good to Me」を再生した。深く低く、時には跳ねるように鳴り響くウッドベースを正確に再現。指使いまで見えるようなリアルな表現だ。トライアングルも綺麗に鳴り響き、高域まで素直に伸びている。様々なピアノの音色が楽しめる楽曲だが、時には軽やかに、時には叩きつけるように力強く鳴り、どれもが的確な描写であることに感心させられる。演奏者のねらいが伝わってくるのだ。解析的に音を確かめているつもりが、いつしか演奏に思わずのめり込んでしまう。

今度は人工的で、思い切り音数が多い曲を…と、DA PUMP「U.S.A.」を再生。ユーロビート特有の、煌びやかな複数のシンセサイザー、打ち込みの複雑なパーカッションが全編を通して隙間無く響き渡る曲だが、それぞれの音が埋もれることなく、しっかり解像している。これがSBCの音か、とほぐれの良さに驚かされる。

複雑なトラックの上を流れるISSAのボーカルも、ハイトーンボイスがとことん突き抜け、気持ちよく響く。バックコーラスもそれぞれの声の重なりまで見通せるようだ。しつこいようだが、これが5,000円台のBluetoothイヤホンで聴けるとは、ちょっと信じられない。

試聴中に思わず感動してしまったのが、女性カントリーミュージックグループ、Dixie Chicksの「Landslide」だ。冒頭のバンジョーの切ない響きに思わず引き込まれ、張りのあるコーラスが曲を盛りたてる。いつの間にかワイヤードやワイヤレスなどということを忘れ、楽曲の魅力そのものに引き込まれる。それだけの力が、このイヤホンにはある。


















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2018年7月9日 18時05分40秒 (Mon)

噂の静電型トゥイーター搭載イヤホン! FitEar EST Universal

 

■特徴は画期的な「静電型トゥイーター」を用いたBA型とのハイブリッド構成

EST最大の特徴は「バランスドアーマチュア型ドライバーと静電型トゥイーターユニットによるハイブリッド構成」。前述の画期的というのは特に「静電型トゥイーター」の部分だ。

既存の本格的な静電型ドライバーは、繊細で正確な振動を生み出すという大きな優位の反面、使い勝手の面では大きな不利を抱えている。その駆動のために専用の高電圧アンプが必要で、ポータブルプレーヤー単体での駆動も他方式のドライバーと共存させてのハイブリッド構成も不可能なのだ。

対して、ESTが搭載する静電型トゥイーターユニットは一般的なイヤホンアンプ回路で動作する。駆動に高電圧が必要なこと自体は同様なのだが、コイルを用いた電磁誘導で電圧をパッシブに引き上げる昇圧トランスとユニット化することでそれを実現。ポータブルプレーヤー等のイヤホン端子に普通に挿して利用できる。

その静電型ユニット。当初はドライバーメーカーが、直近の製品化ではなく、技術的な挑戦を目的として試作したものだったという。なのでその時点では、トランスのサイズがイヤホンの筐体に収まるものではない等、製品化できる代物ではなかったようだ。

しかしそのドライバーのテストに参加したFitEarは、その音、特に中高域にこれまでにない魅力を感じた。そこで両社はさらなる協力態勢での数々の試作に突入。そして完成されたのがESTに搭載されている「静電型トゥイーターユニット」なのだ。トランスを含めた小型化の他、中高域再生用トゥイーターとしての最適化といったところがポイントだろうと推測する。

その静電型トゥイーターをフルレンジのバランスドアーマチュアと組み合わせる、というのがESTのハイブリッド構成。バランスドアーマチュア側を、ネットワークによる電気的なハイカットは行わずフルレンジとして動作させているところもポイントだ。アコースティックフィルターのみによる調整で、バランスドアーマチュアのフルレンジ再生に静電型トゥイーターの中高域をなじませ、その魅力を上乗せしてある。

なお公開されている仕様表記は、以下のとおり。
「ハイブリッドタイプ/構成非公開
(バランスドアーマチュア型ドライバー/静電型トゥイーターユニット)」
ドライバーの基数については非公開。

技術面ではもう一つ、FitEar Universalにて初採用された「オーバルホーンステム」をベースにしたステムにも注目だ。

■サウンドの特筆点は中高域。高度な次元でクリアながら豊かさも両立

それではサウンドをチェックしていこう。
なお、実は僕、春先にESTカスタム版のサンプルも試聴させていただいており、そちらを初めて聴いたときの衝撃も織り交ぜてお届けします。

「……え!?なにこの中高域!?」
女性ボーカルのサ行の鋭さや息遣いの描き込み、シンバルの金属感や薄刃さ、ギターの歪みのエッジ感といったシャープネスの要素が抜群に良い!その上で、それらに刺さりだとか尖り、荒れといったネガティブな要素がほとんど全く付帯しない。それどころか上質なほぐれを感じさせる。

ひとつひとつの音がきめ細かな粒子によって表現されていて、そしてその粒子によって音の響きも豊かに表現される。それでいて、フィルム的粒子感やレンズのボケ味を生かしたような美しさに偏るわけではなく、フォーカスの決まった鋭い描写でもあるのだ。

「シャープさとソフトさ」「キレとボケ」「明確さと粒子感」など、相反しがちな要素が異様なまで高度に兼ね備えられている。もちろん、それらを兼ね備えた方向性のイヤホンがこれまで他になかったわけではない。

…のだが、ESTはその方向性でのレベルが、僕がこれまでに体験してきた範疇にないどころか、想像の範疇すら超えてきた。「理想として思い描いていた音」を超えて、「これが理想だったのかと呆気に取られる音」だ。

ご本人の声とピアノのみで歌い上げられる早見沙織さん「琥珀糖」では、その中高域の魅力が特に発揮される。ピアノの響きの濃さを余さず表現し、空間をそのしっとりとした響きの粒子で満たす。しかし視界がぼやけるような濃さではなく、すっとした空気感もある。

音の自然な広がりは最上級ではないが、イヤモニとしての密閉度を最大限に確保した上で、そちらも十分に確保されている。ヘッドホンにおける「開放型ではなく密閉型のヘッドホンとしては上々の空間表現」といった感じを想像してもらえればと思う。

同時録音ではないが、そのピアノを弾いた後にそのままピアノの前で録音したというボーカルの表現も絶品。この歌ではフレーズの合間での息遣いも、曲の雰囲気に合わせて様々な柔らかさにコントロールされ、それによって曲の雰囲気がさらに強められている。そのそれぞれのニュアンスの届け方が素晴らしい。

例えばシャープさに偏ったイヤホンで聴くと、どのブレスも鋭めに聴こえてしまい、「柔らかさの中にも速さがある」といった絶妙なところが埋もれがち。対して、ESTの中高域は固有の魅力を備えつつも、音への反応は実に素直で鋭敏だ。それでいて速さや鋭さを描き出す時、そこが行き過ぎることもなく耳心地が良い。

でも低域は弱いんでしょ?と思われるかもしれないが、こちらにも不足は感じない。Robert Glasper Experiment「Human」のようなクラブ系のディープなローエンドとなると、さすがにその全てを捉え切ることはできないが、本当に超ディープな帯域より上、一般的な低音の再現は十分だ。相対性理論やペトロールズといったバンドサウンドでのベースやドラムスには普通に対応する。

タイトで速いタイプではなく、程良いボリューム感やナチュラルな立ち上がりが持ち味。また特にドラムスは、ESTならではの中高域で空気感、鳴りや抜けのニュアンスがしっかり引き出されるおかげか、全体としてかなり良質な印象だ。

低域についてはイヤーチップでのチューニングも効きやすい印象。
例えば僕の場合、
●標準L→低音の抜けは良いけど、軽やか過ぎるかも
●スパイラルドットL→低音はしっかり出るけど、膨らみ過ぎかも
●スパイラルドットML→低音も十分出るし膨らみ過ぎない
と、少しずつベターと思われるサウンドに調整していった。スパイラルドットには中間サイズも用意されており、L→MLでフィット感や遮音性を維持しつつ低域を調整できた。FitEar純正と傘の高さや開口の径がかけ離れたものではないおかげか、中高域側の感触はキープしながら調整できたことも幸いだった。

















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男性
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生年月日
1975年6月5日
現住所
東京都江戸川区